今ではもう家族も、本人自身も、症状のことはすっかり忘れてしまったかのようです。でも、毎日看病し、病院に連れて行き、学校にもどうにか行かせようとしていた母親の私が一番この病気のことを知っています。
毎日、朝起こそうと、声を掛けに行っても、返事もなく、微動だにしない(できない)娘をかわいそうに思い、戸惑いを覚える日々でした。いつ治るのだろうか、という不安もありました。でも、すぐに病名がわかり、専門の先生にかかることができ、先生から、1年ぐらいかかるかもしれませんが必ず治ります、という言葉をいただき、早期発見と、治る病気だという信念が、早期回復につながったと確信しています。
娘の回復のきっかけも夏休みでした。子供にとっては開放的な季節です。ぜひ、親しいお友達や家族と、映画やコンサートや、食事やおしゃべり・・・ともかく楽しみを見つけて、無理をしない程度にお出かけして欲しいと思います。
そもそも線維筋痛症は、体に怪我や病気があるわけでもないのに、脳が勝手に痛みを感じるという病気だ、という説明を受けました。脳が誤った反応しているのでしょう。それならば、痛みや不快感を上回るような、楽しくてワクワクするような心地よい刺激と経験を脳に与えてやればいいのではないでしょうか。楽しく過ごせる日があると、それがきっと脳にいい刺激を与えると思います。自信にもつながります。そのような心地よい経験が脳に蓄積されていくことこそが大切なように思います。素人考えだと思われるかもしれませんが、確実に治るお薬が現在もなく、病気を克服した人間の母親が経験的にそのように感じているのです。
それにはある程度、体調が回復期にある必要があるかもしれませんが、前向きな気持ちになっている時こそチャンスかもしれません。お薬の助けも重要ですが(お薬に効果がない、と言っているわけではありません、それに加えて、ということです)、心と脳が楽しい、嬉しい、おいしい、心地よいなど、ポジティブな刺激を感じ取れるような環境を用意してあげるのも大切かと思います。それには、必ず直るという強い信念が大切だと思います。私達のケースでよかったのは、先生から「必ず治る病気です」という力強い言葉だったとも思います。この病気に詳しくない先生から、「原因不明です。治るかどうかよくわかりません。」などという言葉をもらったり、治療方針がころころ変わったりしたとしたら、患者側は不安な、否定的な気持ちになるに違いありません。
でも、ここに、完全に病を克服した人間がいるのですから、治る病気かどうか明らかでしょう。「脳」が関係している病気である以上、治らないのではないか・・・という不安があるうちは、なかなか回復の糸口が見つからないのかもしれません。治った人があるのだから自分もきっとよくなるはずだ、少しずつ症状がよくなってきているようだからこのまま回復に向かうはずだ、という前向きな気持ちこそ、この病気を克服できるかどうかの分かれ道のような気持ちすらいたします。
このように書いていると、一般の人に、じゃあ、結局気持ちの持ちようなんじゃないの?というような軽々しい病気には思って欲しくはありません。これは非常に重くて苦しい病気です。苦しみと絶望の中に希望を見出すことほど難しいことはありません。
日々の辛さの中にも、回復への強い信念を持つこと、希望を持つこと、楽しみや喜びの感情を見つけていくことこそが、お薬を上回るような効果につながり、回復への近道となるのではないかと強く思うのです。闘病中のみなさんを心から応援しています。
ラベル:線維筋痛症